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Concept

 

洞窟的なシェルターを住まいの始まりと考える説もありますが、 日本の風土、環境やアジア的な人間性から考えるともっと風通しが良く、 自然や人間どおしの関係がつくりやすい一本の木が住まいの始まりではないかと思います。

 

一本の木は雨をしのぎ、熱い日射しも遮ってくれ、適度な木漏れ日が差し込み、 さわやかな風が通りすぎ、心地よい場所をつくり出してくれます。

 

吉田兼好も『住まいは夏を旨とすべし』と言っているように日本の温帯湿潤な風土では 締め切って暮らしていては、まことに始末が良くありません。

 

昨今、高気密高断熱の住宅が人に優しく住み易いと謳われていますが、 その人工環境の弊害として、結露、かび、シックハウス問題まで引き起こしている現状に、 やはり住宅は閉鎖的な洞窟ではなく開放的な一本の木であるべきだと実感します。

 

一本の木は心地よい環境を提供してくれるだけではなく、 その場所で何かがはじまる『切掛(きっかけ)』も提供してくれます。

 

暑い日には日陰をもとめて人が集まり、雨の日には雨宿りに人が立ち寄り、 他人同士が引き合わされ何かが始まります。

 

そこで違う個性の人たちが情報を交換し、新しい関係が起こるきっかけとなります。

 

住まいには財産や生活を守る閉じた箱(ボックス)の機能だけではなく、 何かが始まる契機となる開いた枠組み(フレーム)の機能もあり、 その連続的な組み合わせが街をつくり、さらに人が集まる魅力が相乗して、 都市をつくっていきます。

 

いわば、一本の木が林になり、森に成長します。

 

その原点となる建築(住まい)を考えていきたいと思います。

 

 

 

一本の木から住まいが始まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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